【ミニブログ】「習うより慣れろ」はイノベーションを阻害するか?

ボードにはられた付箋

年度替わりで新入社員や新しく部署を異動してきた人を迎える季節です。
会社勤めをしていたころ、新しい仕事がなかなかうまくこなせない時、よく上司や先輩社員から
「仕事は習うより慣れろだよ!」
と言われものです。
業務を滞りなく遂行するために「慣れる」ということは必須であるように思われます。

しかし、イノベーションの創出が課題である現代において「慣れすぎてしまう」ことは、イノベーション創出の阻害要因になるかもしれません。

「慣れる」と「慣れすぎる」の違い

「習うより慣れろ」はとても共感できる言葉です。
「いろいろ教わるより何度もやってみて慣れることが一番だよ」ということです。
慣れてしまえばこっちのもの。習慣化してルーティンワークとすることが仕事をマスターする早道です。ルーティンワークは心地いいので、失敗することなく効率的に仕事をこなすことができます。

では、「慣れる」ことに対する負の部分はないのでしょうか?
私は「慣れすぎる」ことによって、現在採用している方法に疑問を差し挟まなくなることを危惧します。

イノベーションのきっかけは、今ある当たり前やルーティンに疑問を持つところから始まることが多いのです。

「協調性」という言葉の罠

昔、私が新卒の新入社員として会社に入った頃、
「新入社員にどのような資質を求めるか」と問われた時、多くの企業は
「協調性」
を真っ先に挙げていました。
昭和の高度成長期(注:私が入社した頃は既に終わりを告げていましたが)、イケイケドンドンで企業の業績が伸びていった時代に、
「文句言わずに会社の言う通りに突き進め!その代わり終身雇用と年功序列での昇給は保証するぞ!」的な企業風土の中で、「協調性」という言葉の御旗のもとに異端児は必要なく、排除されるかあるいは慣らされていったのです。

企業という組織体においてそこに所属する社員にとって「協調性」は持つべき資質です。多くの社員が協調性なく勝手な行動を取っていたら、組織としての体を成さなくなるのは明白です。
しかし、協調性を重視しすぎるが故に、異端児を排除することにより現状に疑問を持ち新しいものの見方ができる人がいなくなってしまったのです。組織論でよく語られる「同調圧力」がかかったということです。

このことはイノベーションの創出を阻害し、バブル崩壊後の失われた20年に引き続く閉塞感漂う21世紀につながっています。

なかなか慣れない社員にどう対応すべきか

仕事を教えてもやらせてもなかなか慣れない社員はいますよね。でも、あまり気にすることはないかもしれません。誰にでも仕事の適不適はあります。自分を客観視できている点を褒めたほうが良い場合もあります。
その場合、大切なのは無理に慣れさせないようにすることです。「慣れない」ということは何かしらの違和感を感じている証拠でもあります。本人のその仕事に対する適不適もありますが、その仕事そのものに問題がある場合もあります。
周りが慣れきって見えていない点が、その人だけには見えているのかもしれません。改革や改善の芽を摘んでしまわないようにすることが重要です。

慣れすぎることに注意

すぐに慣れてしまう人、慣れやすい人はそれはそれで才能ある人とも言えますが、慣れすぎには要注意です。発想が狭くなってしまうこともあるからです。
ルーティンは心地よいものです。一度、この心地よさを味わうとそこから中々抜け出せません。当たり前のことに疑問を持つことなどできなくなります。組織全体がこの心地よさに浸ってしまうと、新しい発想が出にくくなりイノベーションは夢物語に終わってしまいます。そして違和感を感じている新入社員や若い人は同調圧力によって排除されたり無理やり慣れさせられるのです。

VUCAとも呼ばれる混沌とした今の世の中においては、あえて異端を受け入れることが多様性を活かしイノベーションの創出につながります。

パソコンで仕事をする若い人

さいごに

「若いヤツには重要な仕事は任せられない。何故なら経験が不足しているからだ。」
私達のようなオジサン世代なら「フムフム」と納得してしまうかもしれませんが、それってひょっとすると無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)かもしれません。
特に、「デジタル」という今の時代にビジネスで成功を収めるために最重要キーワードを考えた時、今や若い人のほうがはるかにデジタルネイティブであることは明らかです。
新入社員を始めとする若い人たちが感じるちょっとした違和感に、イノベーションの種が詰まっていることもあります。明日からでも若い人たちの考えに耳を傾けてみてはいかがですか?

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