イノベーションを生み出すのに理性と感性どちらが大切でしょうか?
どちらも大切なんですが、一般的には創造性の発揮、つまりイノベーションの発想のためには感性を働かせなければならない、と言われます。
しかし、何も考えずにそれこそボーっと生きてたら、感性を磨くことはできませんよね。
どうやったら感性は磨けるのでしょう?
イノベーション創出はここから始まる
皆さん、こんにちは。
イノベーションの伝道師、中小企業診断士の米本幸平です。
これまで何度もお伝えしてきました「イノベーション創出4ステップアプローチ」のStep1は、
「変革をもたらすドライバー(新しい現実、世の中の変化)を知る」です。
そこにイノベーションが生まれる素地、ヒントが隠されているということです。
しかし、この新しい現実や世の中の変化を単なる事象として捉えていては、いつまで経ってもイノベーションは生まれないでしょう。
それをきっかけとして今まで通用していた常識や当たり前に疑問を持ち変革を起こすには、何か嗅覚のようなもの、言い換えれば鋭い感性がそれを可能にします。
私自身感性が鋭いとは言えませんが、モノの見方や考え方を少し変えるだけで鍛えられるとも言われます。
今日は皆さんと「感性」について考えてみたいと思います。
「感性」とは何か
そもそも「感性」とは何でしょう?
英語では「Sense」ですが日本語の「センス」とは少し意味が違う気がします。
「何かを感じる力」とか「感じたいと思う力」でしょうか?
ふわっとして捉えどころのない言葉です。
感性は右脳に支配されている
「感性」は右脳に支配され、「理性」はその逆で左脳に支配されているとよく言われます。
そのため、「感性を鍛えるには右脳が司る左手を使うようにすればよい」なんていうことを提唱する人もいます。本当かどうかわかりませんが、「右脳を鍛えるんだ」と言って箸を左手に持ち替えて食事している人がいることは確かです。
芸術家は右脳派が多く感性が鋭い、故に左利きが多いとも言われます。
私が知っている左利きの有名な芸術家はレオナルド・ダヴィンチとポール・マッカートニーですが、芸術家で大成している人は、確かに感性豊かな人が多いような気がします。
感性は持って生まれたものなのか?
「感性は生まれつきのものだから自分には鍛えようがない」という人もいますが果たしてそうでしょうか?
「何かを感じる」ことができるとすれば誰にも備わっているものであり、そうであれば鍛えることができる(=磨いて鋭くすることができる)と言えます。
感性と理性のバランス
イノベーションの発想、出発点として「感性を磨く」ことは重要ですが、
感性だけでイノベーションが実現するわけではありません。
イノベーションの発想をビジネスの世界で実現させるには「理性」も当然必要になります。
「感性」で発想し、「理性」で実現させる、この絶妙なバランスがイノベーション創出には欠かせません。
感性を磨くことを阻むものは
イノベーションの発想には感性を磨くことが大切とわかっていても、日常生活の中ではなかなか意識しないとできないことです。
それは、感性を磨くことを阻むものが存在するからです。
ルーティンは心地よい
「ルーティン」とは、決まった手順とか所作、日課のことです。
ラグビーの試合である選手がゴールキックを蹴る前に必ず同じ動作をすることでも有名になりました。
仕事でも習慣化することにより集中力を発揮しより良い成果が挙げられると言われています。
日常生活においても、朝決まった時間に起きて決まった時間に朝食を取り、決まった時間に家を出る。いつも同じ道を歩いて最寄り駅へと向かい同じ時間の電車に乗る。
多くのビジネスマンの朝の風景であり、これもルーティンと言えます。
同じ行動ですのであまり考えることもありません。よってこれらの行動はいつの間にか心地よくなっています。
「心地よい」というのは「違う行動を取ると心地よくない」という意味です。
皆さんはいかがでしょうか?
変化は脅威である
動物は本能的に変化を脅威ととらえます。たとえそれが良い方向に変化する場合でも、「何かが変わる」ことに対し最初は脅威を感じるのです。
先ほどのビジネスマンの朝の通勤時の行動を思い出してみてください。
最寄り駅までいつも通っている道が、たまたまその日は道路工事で通行止めになっていたとしたら、あなたはどうしますか?
当然別の道を歩くでしょうが、休日の散歩ではよく使うなじみの道であったとしても、何か違和感を感じるはずです。その道があまり歩いたことのない道であったらなおのことですね。
このように、本能的に変化を脅威と感じてしまうというわけです。
会社の中で、変革を起こそうそすると必ずと言ってよいほど「抵抗勢力」が表れるのは、この脅威を敏感に感じ取ってしまうからです。
感性を磨くために取るべき行動はこれだ!
ルーティンに囲まれた生活においては、なかなか感性は磨かれにくいことはご理解いただけたかと思います。
自分の行動、あるいは目の前で起きていることがあまりに当たり前すぎて、何かを「感じる」ことができなくなっているからです。
感性を磨く行動は、本能的には脅威と捉えられる変化を受け入れ楽しむ感覚が求められます。
強制的に「感じる」ことに身を置かなければなりません。
あえて異境に身を置いてみる
ルーティンが感性を磨くことを阻んでいるのであれば、あえてルーティンではない行動を取ってみてはいかがでしょう。
経験のある方は、初めて海外に行ったときのことを思い出してみてください。
異境に身を置くということは、何もかもがルーティンではないことだらけであり何かを感じざるを得ませんよね。
普段の生活や仕事の場面でも、異境に身を置くことはできます。
いつもと違う時間に起床する、最寄り駅までの道を変えてみる、いつもと違う電車の車両に乗る。
通勤という一連のルーティンである行動の中においても、少し違う行動は取れそうです。
前回のブログで述べた「歯磨き」のお話も、会社勤めの頃のルーティンでは出会えなかったでしょう。
会社勤め時代、私は7時半ごろに家を出て会社に向かっていたので8時からの朝の情報番組を見る機会はありませんでした。始業時間に縛られないフリーランスになり、かつての朝のルーティンをやめたことによって新たな発見ができたということです。
「なぜなぜ思考」でまずは感じることから始める
入社したての新人の頃、社内会議資料のコピー取りを上司に言われてやったことのある方はいらっしゃると思います。
もしあなたにそんな経験があるとして、その時何を考えていましたか?
「新人だから雑用を頼まれるのは当たり前」
「上司に叱られないようさっさと済まそう」
何回も同じ作業をするうちにルーティンになり、いずれ何の感情も抱くことなくせっせとこなしていたかもしれません。
「なぜ新人は雑用を頼まれるのか?」
「なぜ毎回10部コピーを取るのか?」
「なぜホッチキス留めではなくクリップ留めなのか?」
「なぜモノクロではなくカラーでなくてはならないのか?」
「なぜなぜ思考」で、放っておくと常識や当たり前として行動してしまう、あるいは目の前を通り過ぎることにふとした疑問を差し挟む=何かを感じることから始めてみてください。
ブルース・リーが映画の中で吐く名セリフに
「考えるな、感じろ!!(Don’t think, Feel!!)」
というのがありますが、正にそれです!
理性的に考えるのは後で良いのです。
まずは「感じる」ことが感性を磨く第一歩となります。
さいごに
「なぜ、日本では大卒一括採用で皆揃って4月に入社するんだ?」
前職の社長(当時)が若いころ、外国人の上司にこう質問されて答えに窮したそうです。
日本ではごく当たり前とされていた大卒採用のやり方ですが、異郷の地に身を置いた外国人は「なぜ」と感じたのです。
皆さんにも多くの「なぜ」を感じていただいて、感性を磨き豊かにすることにより多くのイノベーションが発想できることを願っております。
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