イノベーション関連事業の一環で、イノベーション経営についての「無料メール講座」を開講しました。面白い話にもかかわらず、メールでは尺の関係で泣く泣く削った内容があります。今回のブログではその一部をお伝えします。
イノベーションの定義と創出方法
皆さん、こんにちは。
イノベーションの伝道師、中小企業診断士の米本幸平です。
このブログはまだ2回目ですので、まずはイノベーションの定義と創出方法を確認します。
イノベーションの定義
イノベーションとは、
「お客さんの無意識の問題を解決すること」です。
無意識の問題とは、
「“あったらいいな”と頭の片隅では思っているが、たぶんできないだろうと思っていること」です。
言わばドラえもんのポケットから出てくるひみつ道具で解決できるものですね。
あれは全く空想の世界ですが、まんざら実現不可能なものばかりではなさそうです。
(ドローンの発展形がタケコプターになるかもしれませんよ!)
この無意識の問題は、意外と身近にあったりします。
例えば、コロナで一躍脚光を浴びた「テレワーク」はその好例です。
多くの人が「自宅で仕事ができたらいいな」と頭の片隅では思っているのですが、
「仕事はオフィスに出勤してするもの」という常識、当たり前がその意識を阻害していました。
一部の企業や個人はコロナ前からすでに気がついており実行していましたが、
多くの企業や個人にとってそれは「無意識」だったのです。
この問題を解決したイノベーションは何でしょう。
「ZOOM」などのテレビ会議システムや、ハンコなしでの契約を可能にする電子決済システムなどなど他にもありそうです。
イノベーションの創出方法
イノベーションの創出方法をまとめた「イノベーション創出4ステップアプローチ」です。
Step1.変革をもたらすドライバー(新しい現実、世の中の変化)を知る
Step2.お客さんは誰かを考える
Step3.お客さんが無意識の問題(=片付けたい用事)を考える
Step4. 問題の解決策を考え実行する
このステップの中では、やはり「Step3」が重要でこのアプローチの肝になります。
お客さんが意識していない問題を発見しなければなりませんから、そう簡単にはいきません。
VUCAとも呼ばれる不安定で不確実な今の世の中では、「問題解決力」より「問題発見力」の方が重要とも言われます。
視野を広げアンテナを立て、世の中の変化に敏感になることにより「お客さんの無意識の問題の発見力」は高まります。
それぞれのステップの要諦は「無料メール講座」の中で述べておりますので参照ください。
これってイノベーション?
では、イノベーションの定義に則り事例をいくつか挙げますので、それはイノベーションか否か考えてみてください。
カメラのイノベーション事例
何かを静止画として記録に残すモノと言えば、今も昔もカメラです。
今のカメラは画像をデジタルで記録に残すデジタルカメラ(スマホカメラ含む)が主流ですが、
昔はフィルムカメラまたは銀塩カメラと呼ばれる「フィルム」を感光させて像を作り出す仕組みの、
撮影機器しかありませんでした。
フィルムとカメラは別々になっていて、
フィルムをカメラに装填し数十枚(確か最高で36枚撮り?)撮影したのち、
撮影済のフィルムを暗室で現像液を使用し印画紙にプリントすることで現像できるというものでした。
当然ながら普通の人がこんな面倒な現像をできるわけもなく、
街角の写真屋さんに撮影済のフィルムを持ち込んでお金を払って現像してもらっていました。
その場で撮った写真が確認でき、保存も簡単で大量にできる、
印画紙に焼き付けるのだって家庭用プリンターでできてしまう。
デジタルカメラの誕生は「革命的」でした。
さて、フィルムカメラとデジタルカメラ、どちらがイノベーションでしょうか?
フィルムカメラが発明されたのは、日本ではまだ江戸時代の頃。
カメラの原型のようなものは、それからさらに遡ること150年前からあったそうですが、
それまで「静止画を記録したい」という問題は「あったらいいなと思うけど実現は難しい」と思われ、ほとんどの人にとっては無意識だったと思います。
ではフィルムカメラはイノベーションだとして、デジタルカメラはどうでしょうか?
先ほど述べたようなデジカメ特有の機能が、デジタル技術で解決できるだろうとお客さんが意識していたとしたら、それはイノベーションではなくリノベーションです。これは意見の分かれるところかもしれません。
テレビのイノベーション事例
「家で動画を見たい」というお客さんの問題に対し解決策として「テレビ」が登場しました。
テレビが登場するまでは、動画は映画館でしか見ることはできませんでした。
いつしか「動画は映画館で観るものであり家庭内で観ることはできないもの」
という常識が出来上がり、お客さんはこのようなものがまさか世に出てくるとは思いもよらなかったのです。
「家で動画を見たい」という問題は潜在的に抱えていたとしても、
「それは解決できないもの」と思い込んでいると顕在化しません。
つまり気がついていない=無意識であるわけです。
無意識なので、市場調査でお客さんに聞いても出てきません。
ここを突いた時、その解決策はイノベーションとなります。
その後、テレビは発展し、白黒からカラーになり、そして液晶が市場を席巻し、
最近は4K、8Kといった高解像度のテレビが出現していますが、
これら全てリノベーションです。
「より高画質のテレビが欲しい」という問題は、お客さんが意識している問題であるからです。
扇風機のイノベーション事例
次の事例は、扇風機です。
これは、「夏、暑い室内温度を下げたい」というお客さんの問題を解決しました。
では、扇風機が登場する前、どのようにしてこの問題を解決していたのでしょう?
そうです、古今東西、太古の昔からこの問題の解決策としてあったのは「うちわ」や「扇子」です。
電気の発明ののち、その力で風を起こす扇風機が発明されたのです。
つまり、人々は電気の発明の前には「電気で風を起こす」ことなど気がつくはずもなく、
せっせとうちわや扇子を扇いで自力で風を起こして涼を取っていたわけです。
そういう意味で扇風機はイノベーションといえるでしょう。
その後、扇風機も発展し、風量調節機能やタイマー機能等が付加されていきますが、
これらはリノベーションですね。
さいごに
「無料メール講座」の中で語るべきことをかなりお話ししたつもりだったのですが、まだまだありそうです。
この続きはまた次号のブログでお伝えしたいと思います。
お楽しみに!
尚、「無料メール講座」が未購読の方はぜひご購読ください。
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